Maqam Bayatiは西洋音楽を拡張するか?
詳細情報
| 日時 | 2026年09月04日 22:05 - 22:35 |
|---|---|
| テーマ | 中東の音階を参考にした 和声の探求・考察 |
| 発表者 | Misohito Nakaiさん |
| 集会名 | VRC微分音集会 |
| 発表資料 |
1. 音階のパーツという考え方「ジンス(アジュナス)」
中東音楽における音階(マカーム)は、単一の音階として固定されているのではなく、ジンス(Jins / جنس / 複数形: アジュナス/ Ajnas / أجناس) と呼ばれる3〜5音程度で構成される最小単位の音程列(テトラコルドやペンタコルド等のパーツ)を組み合わせて構築されます。
マカームとは、これらのジンスをつなぎ合わせることで成立する音階(旋法体系)そのものを指します。
2. Maqam Bayati の構造
Maqam Bayati(マカーム・バヤティ)は、下部(主旋律域)にJins Bayatiを置き、上部に別のジンスを接続することで構成されます。代表的な組み合わせには以下のパターンが存在します。
- Jins Bayati + Jins Nahawand パターン
下部にJins Bayati、上部にJins Nahawand(ナチュラルマイナー的な構造を持つジンス)を結合したパターン - Jins Bayati + Jins Rast パターン
下部にJins Bayati、上部にJins Rast(中立音を含むジンス)を結合したパターン
3. 短3度の割り方
短3度(約300セント)の音程間隔をどのように分割(2分)するかによって、音階の性格が分類されます。
- マイナー的: 全音 + 半音
- フリジアン的: 半音 + 全音
- Bayati的: 中立2度 + 中立2度(約3/4音 + 約3/4音)
- ヘミオリック・クロマティック(Hemiolic Chromatic): 短3度を等分(折半)するこの中立2度という音程そのものを指します。
4. 倍音列との位置づけ
Bayatiにおける短3度の折半構造(根音 → 中立2度 → 短3度)の周波数比率は、純正倍音列における 10 : 11 : 12 の比率に対応・近似します。
第11倍音(11th harmonic)に基づく音程構造を利用するため、その和声付けは理論的に 11-limit(11限界) の和声を基盤として位置づけられます。
5. マイナーコードへの 11-limit 音の貫入
- 10 : 11 : 12 : 15 の和音
従来の純正な短三和音(10 : 12 : 15)の構成音間に、第11倍音に相当する「11」の音程を貫入させた4音和音です。 - コンマの消去
Syntonic Comma(シントニック・コンマ) や Rastma などの微小な音階上の差(コンマ)を同一視・消去して調整することにより、微分音構造の中での和声体系を成立させます。 - 音律での位置づけ
- 24EDO(24等分律): 1オクターブを24分割する四分音律。半半音(約50セント)単位の表記として使用されます。
- 31EDO(31等分律): 1オクターブを31分割する音律。10 : 11 : 12 : 15 などの11-limitの純正比率を高精度で近似可能です。
6. 機能和声による融通の利いた動き
微分音(半半音)を含む音律に対応させた機能和声モデルの構成音一覧です。
※ 記号表記: + = 半半音上げ(約+50セント) / d = 半半音下げ(約-50セント)
| 機能 | 構成音の例 |
|---|---|
| トニック | ラ, シd, ド, ミ |
| サブドミナント | レ, ミ, ファ♮, ラ |
| ドミナント | ミ, ファ+, ソ, シ |
| トニックパラレル | ド, ミ, ファ+, ソ |
| サブドミパラレル | ファ, ラ, シd, ド |
| ドミナントパラレル | ソ, シ, レ, ファ+ |
| 謎のトニック? | シd, ド, ファ+, ラ |
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開催日: 2026年09月04日
開催時間: 22:00 - 23:00
開催曜日: 金曜日開催周期: 月1回
毎月最初の金曜日に開催。微分音・Xenharmonicといった西洋音楽の12平均律を飛び出した音楽理論や調律理論、関連技術についての交流会です。 集会では不定期でLTやお悩み相談も開催予定。 音楽に関わりのあるすべての方々に、斬新で画期的な新時代の音楽のアプローチを提唱いたします。