VRChat発!自律AI「P-AMI<Q>」最新開発事情!ML集会発表レポート

詳細情報

日時 2025年04月02日 22:00 - 22:30
テーマ P-AMI<Q>の進捗報告LT "Weekly P-AMI<Q>"2
発表者 GesonAnko
集会名 ML集会
発表資料 ファイル

2025年4月2日、VRChatで開催された「ML集会」にて、GesonAnkoさんが「Weekly P-AMI<Q>」と題したライトニングトークを行いました。

この発表では、GesonAnkoさんが開発を進める自律機械知能「P-AMI<Q>」の最新の進捗が共有され、参加者はその進化に触れることができました。

P-AMI<Q> Coreの進化:システムの心臓部がよりパワフルに!

P-AMI<Q>の開発は、その名の通り、自律機械知能の実現を目指しています。

今回の発表で特に注目されたのは、「P-AMI<Q> Core」と呼ばれる、システムの核となる部分の進化です。

システム(スレッド)制御系モジュールの完成

P-AMI<Q> Coreの重要なアップデートとして、システム(スレッド)制御系モジュールが完成しました。

これは、複数の処理を同時に、かつ安全に動かすための「交通整理役」のようなものです。

発表では、このモジュールが332行ものコードで構成されていることが明かされ、その複雑さと完成度の高さが伺えました。

安全な並列処理の実現

この制御モジュールのおかげで、P-AMI<Q>は複数のタスクを並行して実行できるようになりました。

例えば、センサーからの情報を受け取りながら、同時に過去のデータを分析し、さらに次に取るべき行動を考える、といった複雑な処理もスムーズに行えるようになります。

発表者のGesonAnkoさんは、この制御処理の実装が「本当に大変だった」と語っており、その開発には多くの苦労があったようです。

しかし、その苦労の甲斐あって、システムの安定性と効率が大きく向上したとのこと。

特に、共同開発者のアイシアさんとの活発な議論が、このモジュール完成に不可欠だったと感謝の意を示していました。

まるで、複雑な機械のすべての歯車が、お互いにぶつかることなく完璧に連携して動くように調整するような、繊細で根気のいる作業だったのでしょう。

PyTorchモデル統合機能の実装

もう一つの大きな進捗は、PyTorchのモデル統合機能が実装されたことです。

PyTorchは、機械学習の分野で広く使われているツール(フレームワーク)です。

P-AMI<Q> Coreにこの機能が加わったことで、様々な種類の機械学習モデルをP-AMI<Q>に組み込むことが容易になりました。

既存モデルの活用と効率化

この統合機能は、「TorchTrainingModel」と「TorchInferenceModel」という形で実現されています。

これにより、学習用のモデルと、実際にP-AMI<Q>が何かを判断したり行動したりする際に使う推論用のモデルを、効率的に管理できるようになります。

既存のPyTorchモデルをそのまま活用できる「ラッパー形式」になっているため、P-AMI<Q>の開発者は、ゼロからモデルを作る必要がなく、世界中で開発されている最先端のモデルをP-AMI<Q>に取り込むことができます。

また、自動的な演算デバイス転送機能や、学習モデルと推論モデルの同期処理なども実装されており、モデルの運用が非常に効率的になりました。

発表の中で、この機能の実装もまた「色々と必要な機能が多くて大変だった」と語られており、特に共同開発者のzassouさんとの意見の衝突もあったようですが、最終的にはClaude(AIアシスタント)の助けも借りながら解決に至ったというエピソードも披露され、開発のリアルな苦労が垣間見えました。

ROS2との連携:ロボットシステムへの道が開ける!

P-AMI<Q>は、単なるソフトウェアに留まらず、将来的にはロボットなどの物理的なシステムと連携することも視野に入れています。

そのための重要なステップとして、ROS2(Robot Operating System 2)との統合が進められています。

ROS2とは?

ROS2は、分散型のロボットソフトウェアシステムを構築するためのフレームワークです。

複数のコンピューターやセンサー、モーターなどを連携させて、一つの複雑なロボットシステムとして機能させることを得意としています。

P-AMI<Q>がROS2と連携することで、P-AMI<Q>の知能を様々なロボットで活用できるようになる可能性が広がります。

Pub/Sub通信の統合

ROS2の基本的な通信の仕組みに、「Pub/Sub通信」というものがあります。

これは、情報を送る側(Publisher)と受け取る側(Subscription)が、「Topic」という名前の情報の通り道を通じてやり取りする仕組みです。

P-AMI<Q>とROS2の統合では、このPub/Sub通信の仕組みを利用しています。

P-AMI<Q>がセンサーからの「観測」データを受け取る部分がSubscription、そしてP-AMI<q>が判断した「行動」をロボットに送る部分がPublisherとして実装されています。</q>

しかし、ここには一つ難しい課題がありました。

それは、観測データはいつ来るかわからない(パッシブな処理)一方で、ロボットの行動は一定間隔で行いたい(アクティブな処理)という、処理のタイミングのずれです。

パッシブ受信・アクティブ送信の折衷案

GesonAnkoさんは、この課題に対して clever な解決策を考案しました。

それは、「非同期に観測を受け取り、保持する」という方法です。

新しい観測データが来たらすぐに処理して行動を返しますが、新しいデータがない場合は、観測が来るまで一定時間(T秒)待つ、という仕組みです。

これにより、観測データの待ち受けと、定期的な行動の送信という、性質の異なる二つの処理を両立させています。

この実装には、「条件変数」という同期プリミティブが使用されており、これは「Producer-Consumerパターン」と呼ばれる、データを生成する側と消費する側が連携する際によく用いられる手法です。

観測の受信がProducer、観測を処理して行動を送信するのがConsumerにあたります。

発表では threading.Condition という具体的な実装方法にも言及があり、技術的な深掘りもされていました。

まとめ

VRChatのML集会で行われたGesonAnkoさんの「Weekly P-AMI<Q>」発表は、自律機械知能P-AMI<q>の着実な進化を示す素晴らしい内容でした。</q>

システム制御の安定性向上、PyTorchによるモデル活用の拡大、そしてROS2連携によるロボットシステムへの展開と、それぞれの進捗がP-AMI<Q>の可能性を大きく広げています。

開発の苦労話や、共同開発者との連携、そして技術的な課題への clever なアプローチなど、開発のリアルが伝わってくる発表でした。

今後のP-AMI<Q>のさらなる進化から目が離せません!

スライド資料(PDF)

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ML集会

開催日: 2025年04月02日

開催時間: 21:30 - 22:30

開催曜日: 水曜日

開催周期: 毎週

機械学習(AI)関連でお話しつつ、LTなどをする情報共有会です! 最近のML界隈は成長が速すぎるからみんなで追おう!という思いから生まれました。 現在は自律動作するAIアバターがいたりして... あなたの目の前にいる存在は人ではないかもしれません。 Discordもあるのでそちらもぜひ。

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