VRChat発AI開発ライブラリP-AMI<Q>の進化!InteractionモジュールとROS2統合の最前線

詳細情報

日時 2025年03月26日 22:00 - 22:30
テーマ P-AMI<Q>の進捗報告LT "Weekly P-AMI<Q>"1
発表者 GesonAnko
集会名 ML集会
発表資料 ファイル

VRChatの技術系イベント「ML集会」で、GesonAnkoさんが開発中のAI開発ライブラリ「P-AMI<Q>」の進捗について発表しました。

今回のテーマは「Weekly P-AMI<Q>」ということで、最新の開発状況が詳しく共有されました。

P-AMI<Q>の心臓部!

Interactionモジュールが完成

P-AMI<Q>のコアライブラリである「pamiq-core」に、重要な新機能が加わりました。

それが「interaction」モジュールです。

このモジュールは、AIエージェントが現実世界やシミュレーション環境とどのように関わるかを定義する、まさにP-AMI<Q>の心臓部とも言える部分です。

Agent(機械知能)とEnvironment(環境)の間で行われる「観測」と「行動」のやり取りを司ります。

AgentとEnvironmentの協奏

interactionモジュールでは、AgentとEnvironmentがそれぞれの役割を担います。

Environmentは、現実世界やシミュレーションから観測データを出力し、Agentからの行動入力を受け取ります。

これは、AIが周囲の状況を「見る」ことや、環境に「働きかける」ことに相当します。

一方、AgentはEnvironmentからの観測を入力として受け取り、次に取るべき行動を出力します。

これは、AIが状況を判断し、意思決定を行うプロセスです。

さらに、Agentは学習のために必要な経験データもこのやり取りの中で収集します。

Environmentの賢い子たち:Sensor, Actuator, IntervalAdjustor

Environmentは、さらにいくつかの小さなコンポーネントに分かれています。

「Sensor」は、環境から情報を取得する役割を担います。

例えば、カメラからの映像やセンサーからの数値データなど、AIが「見る」ための情報を集めます。

「Actuator」は、Agentが決定した行動を環境に作用させる部分です。

ロボットのモーターを動かしたり、シミュレーション内のオブジェクトを操作したりと、AIが環境に「働きかける」部分を担当します。

そして「IntervalAdjustor」は、観測と行動のループが一定の間隔で行われるように調整します。

これにより、例えば「10fps(1秒間に10回)」といった決まった頻度でAIと環境のやり取りが行われ、安定した動作を実現します。

開発の成果:14個のクラスたち

今回の開発で、合計14個の新しいクラスが作成されました。

AgentとEnvironmentの基本的な振る舞いを定義する抽象クラスに始まり、interactionモジュールの中核をなすInteractionクラス群、そしてSensorやActuatorといった環境を構成するModular Env関連のクラス、さらに様々な状況に対応するためのWrapperクラス類が含まれます。

これらの積み重ねが、P-AMI<Q>の柔軟性と拡張性を支えています。

ロボットの世界へ!

ROS2との統合

P-AMI<Q>は、ロボット開発で広く使われているオープンソースのミドルウェア「ROS2(Robot Operating System 2)」との統合も積極的に進めています。

ROS2は、分散型のロボットソフトウェアシステムを構築するための強力なフレームワークです。

多次元データもお手の物!

ndarray_msgパッケージ

ROS2との連携をスムーズにするために、「ndarray_msg」というROS2パッケージが開発され、rosdistro(ROSのパッケージインデックス)に公開されました。

このパッケージを使うと、NumpyやPyTorchで扱われるような多次元配列のデータを、ROS2のネットワーク上で効率的にやり取りできます。

AI開発ではテンソルなどの多次元データを扱うことが多いので、これは非常に嬉しい進捗です。

P-AMI<Q>とROS2をつなぐ pamiq_ros

そして、P-AMI<Q>をROS2環境で使うためのライブラリ「pamiq_ros」の実装も始まりました。

このライブラリに含まれる「ROS2Environment」クラスを使うことで、P-AMI<Q>で開発したAIを、他のROS2ノードと連携させることができるようになります。

これにより、P-AMI<Q>を使ったAIを実際のロボットに搭載したり、ROS2シミュレーション環境で動かしたりすることがより手軽になります。

まとめ

今回のGesonAnkoさんの発表では、P-AMI<Q>のinteractionモジュールの完成という大きな進捗と、ロボット開発の標準的なプラットフォームであるROS2との連携が進んでいることが報告されました。

特にinteractionモジュールは、AIが環境とどのように関わるかを定義するP-AMI<Q>の根幹に関わる部分であり、その完成は今後の開発の加速を予感させます。

また、ROS2との統合により、P-AMI<Q>がロボット開発の分野でさらに活用される可能性が広がりました。

P-AMI<Q>の今後の展開から目が離せません!

スライド資料(PDF)

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開催時間: 21:30 - 22:30

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開催周期: 毎週

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