MOSスケールの基礎

詳細情報

日時 2025年04月11日 22:05 - 22:50
テーマ Erv Wilsonの音階の構築方法
発表者 MisohitoNakai
集会名 VRC微分音集会
発表資料 ファイル

VRChatの「VRC微分音集会」で発表された「Erv Wilsonの音階の構築方法」をテーマに、MOSスケールの世界を紐解きます。

音階の奥深さを一緒に探求してみましょう!

MOSスケールとは?

音階の基礎を理解する

MOSスケールとは、音楽理論における音階の一種で、特定のルールに基づいて音を選択し、並べることで作られます。

このスケールを理解することで、音楽の構造や響きの特性が見えてくるかもしれません。

MOSスケールの定義

MOSスケールは、以下の3つの条件を満たす音階として定義されます。

  1. 音階に「ピリオド」と呼ばれる音程(通常はオクターブ)があり、それが等分割されていること。
  2. 「ジェネレーター」と呼ばれる、ピリオドよりも狭い音程を積み重ねて音階が構築されること。
  3. 音階の中で隣り合う音程が、広い音程(L)と狭い音程(s)の2種類のみで構成されること。

例えば、全音階(ドレミファソラシド)は、オクターブをピリオドとし、完全5度をジェネレーターとして構成されています。

また、全音と半音という2種類の音程で構成されているため、MOSスケールの条件を満たしています。

MOSスケールの背景:Erv Wilsonの疑問

なぜ、ある種の音階(5音階や7音階など)はポピュラーで、別の音階(6音階や8音階など)はそうではないのでしょうか?

音楽家のErv Wilsonさんは、この疑問からMOSスケールの研究を始めました。

Wilsonさんは、音楽を構成する要素である「和声」と「旋律」のうち、旋律の重要性に着目しました。

純正律のような周波数に基づく協和だけでなく、旋律の構造が人々の音楽的嗜好に影響を与えているのではないかと考えたのです。

Rankとは?

音律の次元を知る

続いて、音律の次元を表す「ランク」という概念について見ていきましょう。

オイラー格子とランクの関係

オイラー格子とは、音程の関係性を視覚的に表現したものです。

3倍音(完全12度)と5倍音(長3度)の関係性を格子状に配置することで、音程の関係性を把握しやすくします。

ランクとは、音律を生成するために必要な音程(ジェネレーター)の数を指します。

例えば、12平均律は100セントの音程を1つ積み重ねることで全ての音を生成できるため、ランク1の音律と言えます。

Rank 2 Temperamentの例

Rank 2 Temperamentは、2つの音程を組み合わせて音律を生成するものです。

ピタゴラス音律や1/4S.C.中全音律などが該当します。

これらの音律は、2つのジェネレーターを組み合わせることで、音律の全ての音に到達できます。

Rank 2以上の音律では、「ウルフ」と呼ばれる、音程がひどくうなる現象が起こることがあります。

これは、用意された音の数が十分でなく、正しい音程関係を近似的な音程で代用するために発生します。

MOSスケールの種類:伸縮、Sister、Daughter

MOSスケールには、様々な種類があります。

ここでは、「伸縮」、「Equalized」、「Collapsed」、そして「Sister/Daughter」という概念について見ていきましょう。

伸縮(Stretch)

完全5度の音程を(685.7セント~720セント)の範囲で変化させると、音階の幅が伸縮します。

例えば、5平均律や7平均律は、完全5度の音程を変化させることで得られます。

Sister/Daughter

Sister MOSとは、あるMOSスケールに対して、ジェネレーターの音程を変化させたときに得られる別のMOSスケールです。

例えば、7平均律よりも完全5度が縮むと、広い音程(L)と狭い音程(s)が逆転し、別のMOSスケールが生まれます。

Daughter MOSとは、あるMOSスケールから派生した、より単純な構造を持つMOSスケールです。

ヨナ抜き音階と全音階の関係が、このDaughter/Parent MOSの関係に当たります。

スケールツリー:MOSスケールの系統図

MOSスケールは、ジェネレーターの音程を変化させることで、様々なパターンが生まれます。

これらのパターンは、木構造として表現することができます。

スケールツリーは、MOSスケールの系統図のようなもので、あるMOSスケールから派生する様々なMOSスケールを視覚的に表現したものです。

MODMOS:MOSスケールの変位

MODMOSとは、MOSスケールから特定の音を変化させた音階のことです。

MOSスケールの一種ではありませんが、MOSスケールとの関連性を持っています。

例えば、和声的短音階は、短音階の第7音を半音上げたものですが、これはMOSスケールから特定の音を変化させたものと考えることができます。

特筆すべきMOSスケール:中立3度の連鎖「mosh」

最後に、特筆すべきMOSスケールとして、中立3度の連鎖によるMOS「mosh」を紹介します。

moshは、完全5度を分割した中立3度(約350セント)をジェネレーターとするMOSスケールです。

17EDO、24EDO、31EDO、41EDOなどの平均律で現れます。

moshには、様々なモード(音階構成)が存在し、それぞれ異なる響きを持っています。

Andrew HeathwaiteさんやCellular Automatonさんによって命名された、ユニークな名前が付けられています。

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開催日: 2025年04月11日

開催時間: 22:00 - 23:00

開催曜日: 金曜日

開催周期: 月1回

毎月最初の金曜日に開催。微分音・Xenharmonicといった西洋音楽の12平均律を飛び出した音楽理論や調律理論、関連技術についての交流会です。 集会では不定期でLTやお悩み相談も開催予定。 音楽に関わりのあるすべての方々に、斬新で画期的な新時代の音楽のアプローチを提唱いたします。

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