ブラックホールに星が飲まれる瞬間を再現!クラウドで挑む宇宙の自由研究

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日時 2026年10月3日 22:00 - 23:00
テーマ 円盤になったのか、丸呑みされたのか — 〜ブラックホール・中性子星合体(GW230529)をクラウドでシミュレーションしてみた〜
発表者 真名海さめさん
集会名 VRChat物理学集会
発表資料 ファイル

宇宙の深淵で繰り広げられる、星と星の激しい衝突。
そんな壮大なドラマを、自分の手で再現できたらワクワクしませんか?
VRChatで開催された「VRChat物理学集会」にて、さめさんが発表した「ブラックホールと中性子星の合体シミュレーション」は、まさにそんな夢を形にした挑戦でした。
最新の観測データに基づき、クラウド技術を駆使して宇宙の謎に迫った、熱い自由研究の全貌をご紹介します!

宇宙の「質量ギャップ」に挑む!GW230529の謎

2023年5月29日、地球に届いたかすかな時空の震え「重力波」が、天文学者たちを驚かせました。
「GW230529」と名付けられたこの信号は、これまでの常識を覆す不思議な重さの天体同士が合体したことを示していたのです。
さめさんによると、この合体に関わった天体の一つは、太陽の約3.6倍という「質量ギャップ」と呼ばれる領域の重さを持っていました。
これまで、この重さの範囲には天体がほとんど見つかっておらず、中性子星にしては重すぎ、ブラックホールにしては軽すぎるという、まさに宇宙のミステリーゾーンだったのです。
この正体不明の天体が、隣にいた中性子星をどう料理したのか。
それを解き明かすのが、今回のシミュレーションの大きな目的です。

「丸呑み」か「円盤」か?星の運命を分ける境界線

ブラックホールと中性子星が近づいたとき、結末は大きく分けて二つあります。
一つは、中性子星が形を保ったまま、ブラックホールにパクりと「丸呑み」されてしまうパターン。
もう一つは、ブラックホールの強力な引力によって中性子星がバラバラに引き裂かれ、周囲に光り輝く「円盤」を作るパターンです。
さめさんは、この違いを「潮汐力(ちょうせきりょく)」という言葉で説明してくれました。
地球の潮の満ち引きを起こす力と同じで、天体の手前と奥で引力の強さが違うために、星が引き伸ばされてしまう力のことです。
ブラックホールが重すぎると、星を引き裂く前に飲み込んでしまいますが、今回のGW230529のようにブラックホールが比較的軽い場合、星は飲み込まれる前に外側で壊れる可能性があるのです。
もし円盤ができれば、そこから光が放たれ、私たちは望遠鏡でその姿を捉えることができるかもしれません。
宇宙のドラマが「見える」かどうかを決める、非常に重要な分かれ道なのです。

クラウドを賢く使いこなす!13回の中断を乗り越えたリレー

このような複雑な計算を自宅のパソコンで行うには、膨大な時間とメモリが必要になります。
さめさんは、公式の研究と同じ高い解像度で再現するために、クラウドサービス(AWS)の力を借りました。
しかし、高性能な計算機を普通に借りると、たった数日で約300ドル(約4万5千円)もの費用がかかってしまいます。
そこで真名海さめさんが活用したのが、空いている計算機を格安で借りられる「スポットインスタンス」という仕組みです。
この仕組みの最大の難点は、誰かが正規料金で使いたくなると、わずか2分前の予告で計算機が強制終了されてしまうこと。
さめさんは、この「中断」を前提とした賢いシステムを構築しました。
30分ごとに計算の途中経過を外部ストレージに保存し、計算機が止まっても次の計算機がその続きから再開できるようにしたのです。
結果として、13回もの中断を乗り越え、14台の計算機によるリレーで見事に完走!
費用も通常料金の半分以下に抑えるという、エンジニアならではの工夫が光る勝利でした。

8.62ミリ秒のドラマが教えてくれたこと

45時間という長い時間をかけて計算されたのは、宇宙の時間でわずか「8.62ミリ秒」の出来事です。
現実の1,900万倍という超スローモーションで再現された映像には、驚くべき光景が映し出されていました。
中性子星はブラックホールの周りをぐるぐると回りながら引き伸ばされ、最終的にはその約6%の物質が飲み込まれずに残り、ブラックホールの周囲に円盤を形成したのです!
これは、この合体現象が宇宙で光り輝いた可能性があることを示唆しています。
さめさんは、「中性子星の94%は飲み込まれたけれど、残った物質が円盤になった」と、シミュレーションの結果を嬉しそうに報告してくれました。
専門家ではない一人の技術者が、最新の論文の追試をクラウドで行い、宇宙の深淵で起きている現象を可視化する。
その情熱と行動力は、私たちに「技術を使えば、宇宙の謎にだって手が届く」という勇気を与えてくれます。

物理学の楽しさをみんなで共有する未来へ

今回の発表は、単なる計算結果の報告にとどまらず、技術をどう使って困難を乗り越えるかというワクワク感に満ちていました。
VRChat物理学集会というコミュニティの中で、こうした高度な知見が共有され、みんなで「すごい!」と感動し合える環境があることは、本当に素敵なことですね。
さめさんは、これからも自由研究を続けていくとのことで、次回の発表も今から待ち遠しくてたまりません。
宇宙の謎はまだまだたくさんありますが、私たちも技術という武器を持って、一緒にその謎解きを楽しんでいきましょう!
次はどんな星の物語が聞けるのか、今から胸が高鳴りますね。

発表スライド(PDF)

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VRChat物理学集会の開催情報・参加方法

VRChat物理学集会のポスター

VRChat物理学集会

開催日: 2026年10月3日

開催時間: 22:00 - 23:00

開催曜日: 土曜日

開催周期: 隔週

わたしたちの身の回りで起こる現象のすべては 物理学によって理解できる(あるいは理解可能と期待されている)と言っても過言ではありません。 しかし普段の生活で、それをじっくり語る機会は少ないと思います。 「VRChat物理学集会」は、そんな物理好きたちのための集いです。 物理に興味を持ち始めたばかりの人から、 日々物理と格闘してる研究者・技術者まで、 みんなで集まって気軽に物理の話を…

わたしたちの身の回りで起こる現象のすべては 物理学によって理解できる(あるいは理解可能と期待されている)と言っても過言ではありません。 しかし普段の生活で、それをじっくり語る機会は少ないと思います。 「VRChat物理学集会」は、そんな物理好きたちのための集いです。 物理に興味を持ち始めたばかりの人から、 日々物理と格闘してる研究者・技術者まで、 みんなで集まって気軽に物理の話をしましょう! 力学、電磁気、熱力学、統計力学、流体力学、量子論、相対論、物理学の歴史、最新の研究、ちょっとした雑学ーーどんな話題でもOK! ときには「そもそもって何だっけ?」みたいな問いかけも、ここでは大歓迎です。 物理の話題で盛り上がれる仲間に、きっと出会えるはず。 もちろん専門知識は不要! 「宇宙ヤバい!」とか「好きなアニメに物理用語が登場してた!」でも立派な参加理由です! 重力も、電磁気も、そして人の縁も、すべては相互作用。 この集会が、物理を愛する人同士を引き寄せ合う力を生じる場になれば嬉しいです!