太陽の沈まない会社をデータサイエンスで実現!GISと数理最適化で世界中にオフィスを展開?
詳細情報
集会名 | データサイエンティスト集会 |
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日時 | 2024年06月27日 21:00 - 21:30 |
テーマ | 太陽の沈まない会社を作る〜GIS×数理最適化〜 |
発表者 | Kuretan |
発表資料 |
発表のハイライト
KuretanさんがVRChatの「データサイエンティスト集会」で行った発表では、GIS(地理情報システム)と数理最適化を使って、世界中にオフィスを配置し、常にどこかのオフィスで太陽が昇っている状態を実現する「太陽の沈まない会社」の作り方を紹介しました。人口データや日の出・日の入りの情報などを活用し、最適なオフィス配置を導き出すという、データサイエンスの面白さと実用性を組み合わせた内容となっています。
太陽の沈まない会社ってどんな会社?
「太陽の沈まない会社」と聞くと、ブラック企業を連想する人もいるかもしれません。Kuretanさんは、そんなネガティブなイメージではなく、世界中のいずれかのオフィスが常に稼働している状態をイメージしてこのテーマを選んだそうです。
例えば、ロサンゼルス、ロンドン、東京にオフィスがあるとします。それぞれのオフィスで太陽が昇っている時間帯は異なりますよね?これらの都市をうまく組み合わせることで、常にどこかのオフィスで業務が行える状態を実現できるのです。
地球上では太陽は必ず沈む!でも…
地球上では、太陽が昇れば必ず沈みます。そのため、1つのオフィスだけでは24時間体制で稼働することはできません。しかし、複数のオフィスを地球上の様々な場所に配置することで、常にどこかのオフィスで太陽が昇っている状態を作り出すことができるのです。
Kuretanさんは、このアイデアの元ネタとして「太陽の沈まない国」を挙げています。これは、イギリスやスペインなど、かつて世界中に植民地を持っていた巨大な帝国を指す歴史用語です。これらの国は、常にどこかの植民地で太陽が昇っている状態だったのです。
太陽の沈まない会社を作るための条件
Kuretanさんは、「太陽の沈まない会社」を作るための条件をいくつか設定しました。
重要な条件は?
- 常にいずれかのオフィスは稼働している
- オフィスの数はできるだけ少ない
- オフィスの場所は人口300万人以上の都市
- オフィスの稼働時間は日の出から日没まで
- 1つのオフィスが稼働不全になっても問題ない(バックアップ体制)
- 1年中、これらの条件を満たす
データサイエンスで最適なオフィス配置を見つけ出す!
では、どのようにして最適なオフィス配置を見つけ出すのでしょうか?Kuretanさんは、以下の手順で分析を進めました。
1. 都市データと人口データの取得
まず、世界中の都市データと人口データが必要です。Kuretanさんは、天野県さんが公開している「Location Data Hub Mega City」というデータセットを使用しました。このデータセットは、日本語で簡単にアクセスできる点も魅力的です。
2. 各都市の日の出・日の入りの時間算出
次に、各都市の日の出・日の入りの時間を計算する必要があります。KuretanさんはPythonの「astral」というライブラリを利用しました。このライブラリは、日の出・日の入りの時間を簡単に計算できるのが特徴です。
3. 最適化問題へ
Kuretanさんは、Pythonの「Pulp」というライブラリを使って、最適化問題を解きました。最適化問題では、以下の点を考慮しました。
- 目的関数: 使用する都市の数を最小化
- 制約条件: 常にどこかのオフィスで太陽が昇っている状態を維持
そして…最適解は?
Kuretanさんの分析の結果、最適なオフィス配置は川崎とセネガルにあるダカールという都市になりました。
なぜ東京やロンドンじゃダメなの?
実は、東京やロンドンなど、直感的に良さそうな都市よりも、川崎とダカールの方が条件を満たす時間帯が長かったそうです。
まとめ
Kuretanさんの発表は、GISと数理最適化を組み合わせることで、現実世界の問題を解決できることを示した素晴らしい事例でした。今回の「太陽の沈まない会社」の例からも分かるように、データサイエンスは単なる理論だけでなく、私たちの生活に役立つ実用的な技術なのです。
今回の発表資料では、より詳細な内容やコード例などが紹介されています。興味のある方はぜひ、以下のリンクから確認してみてください。
[Kuretanさんの発表資料のスライドへのリンクを記載]