フェムト秒レーザで拓くミクロの世界!
詳細情報
日時 | 2025年08月09日 22:00 - 22:30 |
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テーマ | フェムト秒レーザと微細造形 ~現象解明からマイクロデバイスへの応用まで~ |
発表者 | Edaさん |
集会名 | VRChat物理学集会 |
発表資料 | ファイル |
VRChatのバーチャル空間で、最先端の物理学に触れることができるって知っていましたか?
2025年8月9日、「VRChat物理学集会」でEdaさんが「フェムト秒レーザと微細造形 ~現象解明からマイクロデバイスへの応用まで~」という、まるでSFのようなテーマで発表してくれました。
今回は、そのワクワクするような内容を皆さんにお届けします!
フェムト秒レーザって、一体何者?
一瞬の光が、私たちの想像を超える世界を創り出す。
Edaさんの発表は、まず「フェムト秒レーザ」という、聞き慣れないけれどとってもパワフルな技術の紹介から始まりました。
フェムト秒とは、10のマイナス15乗秒という、想像を絶するほど短い時間のこと。この超短時間だけ光を出すレーザが、フェムト秒レーザなんです。
なぜ短い時間だけ光を出すことがそんなにすごいのかというと、瞬間的にものすごく高いエネルギーを集中させられるから、とのこと。
従来のレーザだと、熱の影響で材料が変形したり溶けたりしてしまうことがあったのですが、フェムト秒レーザなら熱の影響をほとんど与えずに、ピンポイントで加工ができるそうです。
まるで、外科手術のように精密な作業ができるレーザ、と考えるとイメージしやすいかもしれませんね。
光の常識を覆す「多光子吸収」の魔法
光が一点に集まらないという物理の壁を乗り越える、驚きの技術。
Edaさんは、フェムト秒レーザのすごい能力を支える「多光子吸収」という現象についても教えてくれました。
普通、光は一つ一つの粒(光子)として吸収されるのですが、光の密度をものすごく高くすると、同時に複数の光子を吸収するという不思議な現象が起きるそうです。
これが「多光子吸収」で、この現象を使うと、光が当たっている場所の中でも、特に光が集中しているごくごく狭い範囲だけで物質を変化させることができる、とのこと。
物理学では、光は波の性質を持っているため、どんなに高性能なレンズを使っても一点に集めることはできない、という「回折限界」という制約があります。
しかし、この多光子吸収を使えば、その回折限界よりもさらに小さな領域で物質を加工できるというから驚きです!
まるで、針の穴を通すよりもさらに細かく、光で絵を描くようなイメージですね。
ミクロの世界に生命を吹き込む造形技術
光で創り出す、目に見えないほどの小さな芸術作品。
このフェムト秒レーザと多光子吸収を組み合わせることで、どんなことができるのか、Edaさんは具体的な例を挙げてくれました。
一つは、ポリマー(プラスチックのような材料)を使って、なんと「雄牛」の形を造形した例です!
レーザの光を当ててポリマーを固め、それをスキャンしていくことで、立体的な形を作り出すそうです。
まるで、光の筆で空中に絵を描くように、ミクロな立体物を作り出せるなんて、本当に夢のようですね。
さらに、銀イオンが溶けた水溶液にレーザを当てることで、銀の微細な構造を作り出す技術も紹介されました。
界面活性剤を加えることで、さらに細かく造形できるようになった、とのこと。
これは、まるで水の中で光を使って金属を彫刻するようなもので、その精密さには目を見張るばかりです。
フェムト秒レーザが切り拓く未来の可能性
私たちの生活を豊かにする、無限の応用が広がる技術。
Edaさんは、このフェムト秒レーザによる微細造形技術が、私たちの未来にどんなメリットをもたらすかについても語ってくれました。
まず、既存の半導体製造技術(リソグラフィ)が抱える課題を解決できる可能性がある、とのこと。
リソグラフィは真空環境や複雑な工程が必要ですが、この技術ならもっと手軽に、そして立体的な配線も可能になるそうです。
これは、まるで複雑な電子回路を、粘土細工のように自由に形作れるようになる、ということかもしれませんね。
さらに、物理的に曲げられる「フレキシブルデバイス」への応用や、動く部品を持つマイクロデバイスの作製にも期待が寄せられています。
例えば、体に貼り付けるセンサーや、医療用の超小型ロボットなど、私たちの生活をより便利で豊かなものに変えてくれるかもしれません。
未解明な現象への挑戦と今後の展望
まだまだ奥深いミクロの世界、科学者たちの探求は続く。
Edaさんは、この技術がまだ発展途上であることも正直に話してくれました。
レーザと物質がどのように相互作用しているのか、その途中の現象にはまだ未解明な部分が多いそうです。
そこで、フェムト秒やピコ秒といった超短時間で物質の状態を追跡できる「ポンプ・プローブ分光法」などの技術を使って、その謎を解き明かそうとしている、とのこと。
まるで、超高速カメラで物質の動きをスローモーションで観察するようなイメージですね。
現状では、光で還元できる金属は金や銀といった貴金属に限られているそうですが、今後は銅やニッケル、鉄といった身近な卑金属でも同じように微細造形ができるように研究が進められている、とのことでした。
卑金属は酸化しやすいという課題があるそうですが、それを防ぐための研究も進んでいるそうです。
この技術がさらに発展すれば、私たちの身の回りにある様々なものが、今よりもっと小さく、高性能になるかもしれません。
最後に
Edaさんの発表は、フェムト秒レーザという最先端技術が、私たちの想像力を刺激し、未来の可能性を大きく広げてくれることを教えてくれました。
VRChatというバーチャルな空間で、こんなにも深く、そしてワクワクするような物理学の話が聞けるなんて、本当に素晴らしい体験でしたね。
私たちも、このミクロの世界がこれからどんな驚きを見せてくれるのか、一緒に見守っていきましょう!
発表スライド(PDF)](https://data.vrc-ta-hub.com/slide/VRC_LT_oFVqbm4.pdf)
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VRChat物理学集会の開催情報・参加方法

VRChat物理学集会
開催日: 2025年08月09日
開催時間: 22:00 - 23:00
開催曜日: 土曜日開催周期: 隔週(グループB)
わたしたちの身の回りで起こる現象のすべては 物理学によって理解できる(あるいは理解可能と期待されている)と言っても過言ではありません。 しかし普段の生活で、それをじっくり語る機会は少ないと思います。 「VRChat物理学集会」は、そんな物理好きたちのための集いです。 物理に興味を持ち始めたばかりの人から、 日々物理と格闘してる研究者・技術者まで、 みんなで集まって気軽に物理の話を…