VR空間の「見える」を解き明かす!光とシェーダーの物理学
詳細情報
日時 | 2025年07月12日 22:00 - 22:20 |
---|---|
テーマ | 光とシェーダー -VR空間の'見える'を支える物理学- |
発表者 | Kagu3 |
集会名 | VRChat物理学集会 |
発表資料 | ファイル |
VRChatのイベントで、私たちのVR体験を根底から支える「光とシェーダー」の秘密が明かされました!
2025年7月12日、「VRChat物理学集会」でKagu3さんが披露してくれたのは、VR空間の「見える」を支える物理学の奥深い世界。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、ご安心ください!
Kagu3さんは、物理学の知識がなくても、数式なしで誰もがワクワクするような解説をしてくれました。
まるで魔法のように感じられるVRの映像が、実は私たちの身近な物理現象に基づいているなんて、想像するだけで胸が高鳴りますよね!
VR空間の「見える」を支える物理学の魔法
私たちがVR空間で目にする美しい景色やリアルな質感は、一体どのようにして生み出されているのでしょうか?
Kagu3さんは、その秘密が「光」と「シェーダー」にあると語ります。
VR空間、つまりCGの世界では、光源から放たれた光が物体に当たり、その反射や透過によって「色」が決まるそうです。
そして、この「見える色」を決定するシェーダーの数式こそが、物理学の理論に基づいているとのこと。
普段何気なく見ているVRの世界が、実は緻密な物理計算の上に成り立っていると知ると、その奥深さに感動を覚えます。
光学が織りなすVRのリアリティ
Kagu3さんの発表で特に印象的だったのは、VRの世界で「光学」が非常に重要な役割を担っているという点です。
BSDF(双方向散乱分布関数)という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。
Blenderを使っている方なら「プリンシプルBSDF」という言葉に聞き覚えがあるかもしれません。
このBSDFは、BRDF(双方向反射率分布関数)とBTDF(双方向透過分布関数)の組み合わせで成り立っているそうです。
簡単に言うと、光が物体に当たったときに、どのように反射したり透過したりするかを記述する関数なのです。
VR空間のリアルな表現は、このような光学の考え方がベースになっているんですね。
拡散反射と鏡面反射:質感の秘密
光の反射には大きく分けて2種類あるとKagu3さんは説明してくれました。
一つは「拡散反射」で、これは物体の「色味」を決めるものです。
例えば、りんごの表面は微細な凹凸があるため、光が当たるとあらゆる方向に散らばって反射します。
この拡散反射によって、りんごの鮮やかな赤色が私たちの目に届くのです。
もう一つは「鏡面反射」で、これは物体の「光沢感」や「ツヤ」、そして「鏡のような映り込み」を決めるものです。
黒塗りの高級車を想像してみてください。
表面が滑らかなため、光が一定の方向に反射し、あの独特のツヤや映り込みが生まれるのです。
VR空間で表現される様々な質感は、この拡散反射と鏡面反射の組み合わせによって生み出されているのですね。
身近な例で理解する反射の仕組み
Kagu3さんは、この拡散反射と鏡面反射を非常に分かりやすい例で説明してくれました。
りんごの赤色がりんごの表面の微細な凹凸によって光が散らばる「拡散反射」で決まること、そして高級車のツヤツヤ感が表面の滑らかさによって光が一定方向に反射する「鏡面反射」で決まること。
これらの身近な例を通して、複雑に思える物理現象がぐっと身近に感じられました。
VR空間でりんごが赤く見えたり、車のボディが光って見えたりするのも、現実世界と同じ物理法則が適用されているからなんですね。
Unityでの実装例から見る物理ベースレンダリングの進化
発表では、Unityでの実装例も紹介されました。
Unlit(光の影響を受けない状態)から始まり、ランバート反射、そしてフォン反射へと段階的に光の表現が豊かになっていく様子は、まさにVR表現の進化の歴史を見ているようでした。
特に、UnityのStandardShaderがPBR(物理ベースレンダリング)マテリアルを採用しているという話は興味深かったです。
これは、より物理現象を再現したモデルを使っているということで、Specular(鏡面反射)にはCook-Torrance BRDF、Diffuse(拡散反射)にはDisney BRDFを基に改良されたものが使われているそうです。
これらの技術が、私たちがVR空間で感じるリアルな質感や光の表現を可能にしているのですね。
物理学への理解が、シェーダーの理解に繋がり、より現実的な表現へと繋がっていくというKagu3さんの言葉は、開発者の皆さんの探求心と情熱を感じさせました。
まだまだ奥深いVRの物理学
Kagu3さんは、今回の発表は「ごく一部」に過ぎないと語ります。
透過の概念や、サブサーフェススキャッタリング(SSS)のような、より高度な物理現象を再現するモデルなど、VRの世界にはまだまだ奥深い物理学の理論が隠されているそうです。
例えば、私たちの肌の質感や、ろうそくの光が透けるような表現は、このSSSのような技術によって実現されているとのこと。
CGの世界では、光学だけでなく、物理演算など様々な物理学の理論が使われており、その全てが私たちのVR体験を豊かにしているのですね。
今回のKagu3さんの発表は、VR空間の「見える」が、いかに緻密な物理学の知識と技術によって支えられているかを教えてくれました。
普段何気なく体験しているVRの世界が、実はこんなにも奥深く、そして科学的な根拠に基づいていると知ると、VRへの見方がガラリと変わりますよね。
物理学と聞くと難しく感じるかもしれませんが、Kagu3さんのように分かりやすく、そしてワクワクするような形で伝えてくれる方がいると、技術への興味が尽きません。
これからも、VRChatの物理学集会で、どんな新しい発見があるのか、今から楽しみでなりません!
皆さんも、ぜひ物理学の奥深い世界を一緒に探求してみませんか?
VRChat物理学集会の他の発表もチェック!
VRChat物理学集会の開催情報・参加方法

VRChat物理学集会
開催日: 2025年07月12日
開催時間: 22:00 - 23:00
開催曜日: 土曜日開催周期: 隔週(グループB)
わたしたちの身の回りで起こる現象のすべては 物理学によって理解できる(あるいは理解可能と期待されている)と言っても過言ではありません。 しかし普段の生活で、それをじっくり語る機会は少ないと思います。 「VRChat物理学集会」は、そんな物理好きたちのための集いです。 物理に興味を持ち始めたばかりの人から、 日々物理と格闘してる研究者・技術者まで、 みんなで集まって気軽に物理の話を…