VRChatアバターの表現を拡張する「PSD非破壊化ツール」とは?
詳細情報
~ TTT PSD Importer(TexTransTool PSD Importer) 開発LT レポート ~
Reina_Sakiriaさん開発、TTT PSD Importer がアバター制作に革命を起こす!?
2023年12月21日に行われたVRChatの「個人開発集会」にて、Reina_Sakiriaさんによる「PSD非破壊化してみた」と題したLT(Lightning Talk)が行われました。
- TTT PSD Importer は、PSDファイルをUnity上で非破壊で扱うことを可能にするツール
- クリッピングやカラーバリエーションの操作をUnityだけで実現
- プレハブバリアントによる表現差分の管理
本記事では、TTT PSD Importer が実現する可能性と、開発に至るまでの経緯、機能の詳細、質疑応答の内容を詳しく解説していきます。
PSDデータの課題と、Unity上での活用が望まれた背景
従来のVRChatアバター制作において、PSD(Photoshopデータ形式)ファイルは、外部ソフトでの編集が必須という課題がありました。
PSDファイルには、レイヤー情報やカラーバリエーションなど、アバターの表現に必要な情報が豊富に含まれています。しかし、Unity単体ではこれらの情報を十分に活用できず、クリップスタジオペイントやPhotoshopといった外部ソフトでの編集作業が欠かせませんでした。
Reina_Sakiriaさんもこの問題に着目し、「PSDファイルをUnityに直接取り込み、外部ソフトを使わずに編集ができたらより便利なのではないか」と考えました。
TTT PSD Importer 開発のきっかけ、そして驚きの開発期間
開発のきっかけは、VRChatユーザーであるbd_さんとの出会いでした。
bd_さんからPSDファイルの構造に関する情報を提供されたReina_Sakiriaさんは、「実現可能性を感じた」と語ります。
そこからPSDパーサーの開発に着手し、なんと約2日間という驚異的なスピードで、PSDファイルから必要な情報を抽出する機能を完成させました。
Reina_Sakiriaさんによると、「必要な情報をそのまま読み取るだけだったので、思ったより難しくなかった」とのことです。
TTT PSD Importer の主な機能と、それがアバター制作にもたらすメリット
1. Unity上でのレイヤー操作
TTT PSD Importerでは、PSDファイルのレイヤー構造をUnityのプレハブとして再現します。
これにより、Unity上でレイヤーの表示/非表示や順番の変更、クリッピングなどの操作が可能になります。
クリップスタジオペイントやPhotoshopなどの外部ソフトを必要とせず、Unityだけでアバターの見た目をカスタマイズできるようになることは、大きなメリットと言えるでしょう。
2. カラーバリエーションの簡易な切り替え
PSDファイルに含まれるカラーバリエーションも、Unity上のゲームオブジェクトのオン/オフで簡単に切り替えられるようになります。
従来のように、複数のテクスチャをインポートしたり、マテリアルを調整したりする手間は必要ありません。
3. プレハブバリアントによる改変情報の管理
TTT PSD Importerは、アバターの改変情報をプレハブバリアントとして保存することも可能です。
これにより、ベースとなるアバターのプレハブを変更することなく、複数のバリエーションを効率的に管理できます。
質疑応答: ランタイムでの動作、対応形式、リリース時期についての展望
LT後の質疑応答では、参加者から様々な質問が寄せられました。
- PSDファイル自体をアセットとしてアップロードする機能の実装について
- Reina_Sakiriaさんは、「ランタイムでPSDファイルを読み込むには専用の開発が必要になるが、将来的には不可能ではない」と回答しました。
- ベクター画像への対応について
- 現時点では対応していないものの、テストケースがあれば検討する可能性を示唆しました。
- 正式リリースの時期について
- 現在ベータ版として公開中の「VRChat Creator Companion」の正式リリース後になる予定とのことです。
まとめ: TTT PSD Importer が切り開く、新たなVRChatアバター表現の可能性
TTT PSD Importerは、従来のVRChatアバター制作における課題を解決し、より効率的かつ自由度の高い表現を可能にする革新的なツールです。
Unity上でのレイヤー操作、カラーバリエーションの切り替え、プレハブバリアントによる改変情報の管理など、アバター制作者にとって嬉しい機能が満載です。
今後の開発にも期待が高まります。