GPS不要の未来が来る?VRChatで語られた「量子航法」の凄すぎる可能性
詳細情報
| 日時 | 2026年01月24日 22:30 - 23:00 |
|---|---|
| テーマ | 量子航法 〜超低温原子による超高精度位置測定〜 |
| 発表者 | さめ(мег-сск)さん |
| 集会名 | VRChat物理学集会 |
| 発表資料 | ファイル |
2026年1月24日、VRChatの人気イベント「VRChat物理学集会」にて、さめ(мег-сск)さんによる驚きの発表が行われました。
テーマは「量子航法 〜超低温原子による超高精度位置測定〜」。
私たちが普段当たり前のように使っているGPS(GNSS)を、なんと「冷やした原子」で置き換えてしまおうという、まるでSF映画のようなワクワクするお話です!
地球観測技術のエンジニアとしても活躍されているさめさんが語る、未来のナビゲーションの姿を一緒に覗いてみましょう。
そもそも「慣性航法」ってなんだろう?
皆さんは、自分が今どこにいるかをどうやって知っていますか?
スマホの地図を開けば、GPS衛星からの電波で一瞬で分かりますよね。
でも、もし電波の届かない深い海の中や、長いトンネルの中にいたらどうでしょう。
そこで活躍するのが「慣性航法」という仕組みです。
これは、外部からの電波に頼らず、自分自身の動きだけで位置を割り出す方法です。
例えば、目隠しをして歩いている自分を想像してみてください。
「今、右にこれくらいの強さで一歩踏み出したな」という感覚を積み重ねていけば、自分がどこにいるか大体予想がつきますよね。
船の世界では昔、ロープに結び目(ノット)を作って海に投げ込み、一定時間にいくつ結び目が出たかを数えて速度を測っていました。
これが速度の単位「ノット」の由来だそうです。
現代では、この「感覚」を「加速度計」というセンサーが担当しています。
加速度を1回積分すれば速度になり、もう1回積分すれば移動距離がわかります。
つまり、自分の加速具合をずっと記録し続ければ、どこに移動したかが計算できるのです。
わずかなズレが大きな迷子に!現在の課題
しかし、この慣性航法には大きな弱点があります。
それは「誤差がどんどん積み重なってしまう」ということ。
加速度計がほんの少しでも「右にズレている」と勘違いすると、その小さな間違いが時間の経過とともに雪だるま式に膨らんでいきます。
さめさんの説明によると、現在の航空機に使われている高性能なセンサーでも、10時間も経てば約6.5kmも位置がズレてしまうのだとか。
これでは、目的地とは全く違う場所にたどり着いてしまいますよね。
そのため、今の私たちはGPSなどの外部情報を使って、定期的にこのズレを修正(補正)しながら旅をしています。
でも、もしGPSが攻撃を受けて偽の信号を流されたり、電波を妨害されたりしたら……。
そんな不安を解消してくれるのが、今回の主役「量子センサー」です。
原子を冷やすと「波」になる!?驚きの量子世界
ここで登場するのが、物理学の不思議な世界です。
さめさんは「原子をものすごく冷やすと、波としての性質がはっきり現れる」と教えてくれました。
全ての物質は「波」の性質を持っていますが、普段は熱でバラバラに動いているため、その性質は見えません。
そこで、レーザー光を使って原子の動きを止め、絶対零度に近い数マイクロケルビンという超低温まで冷やし込みます。
すると、原子たちの波長がピタリと揃い、まるできれいに整列した行進のように振る舞い始めます。
この「波」の状態になった原子を使うことで、これまでの機械的なセンサーでは不可能だった超高精度の測定が可能になるのです。
原子干渉計:光の代わりに原子を分ける
この技術の核心にあるのが「原子干渉計」です。
普通の光学干渉計では、鏡を使って光を2つの道に分け、再び合流させた時の「ズレ(干渉)」を見ます。
量子航法では、光の代わりにこの「冷えた原子の波」を2つの経路に分けます。
原子に特定のレーザーを当てると、原子の状態が変化して、進む方向がパカッと分かれます。
そして、しばらく進んだ後に再び合流させます。
もし、この移動中に装置が加速していたら、2つの経路を通った原子の波の間に「位相のズレ」が生じます。
このズレを読み取ることで、どれくらいの加速度がかかったかを、自然界の基本定数に基づいた究極の精度で測ることができるのです。
2025年、量子航法はもうすぐそこまで来ている
「そんなすごい技術、まだ遠い未来の話でしょ?」と思うかもしれません。
でも、さめさんのお話では、実用化の足音はすぐそこまで聞こえています!
2025年には、すでに驚くべき成果が報告されています。
例えば、ボーイング社は4時間もの間、GPSを一切使わずに飛行することに成功しました。
また、セスナ機を使った実験では22メートルの精度を達成し、TIME誌の「2025年ベスト発明賞」を受賞した企業もあるそうです。
さらに、イギリス海軍では潜水艦での試験も成功しているとのこと。
これまでのセンサーよりも4桁以上、つまり1万倍も精度が高いこの技術。
これが普及すれば、GPSが届かない深海を自由に探検する水中ドローンや、電波妨害に負けない安全な自動運転など、私たちの世界はもっと広がっていくはずです。
未来の「羅針盤」をみんなで楽しもう
さめさんの発表は、物理学という一見難しそうな分野が、実は私たちの未来の移動を支えるワクワクする冒険に直結していることを教えてくれました。
「原子という自然の定数を基準にすることで、人工物の限界を超える」という言葉には、科学のロマンが詰まっていますね。
VRChat物理学集会では、こうした最先端の知見を、誰でも気軽に楽しむことができます。
さめさんも「どんなジャンルでもOKなので、ぜひLT登壇を!」と呼びかけていました。
皆さんも、このワクワクする科学のコミュニティに飛び込んで、一緒に未来を想像してみませんか?
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VRChat物理学集会の開催情報・参加方法
VRChat物理学集会
開催日: 2026年01月24日
開催時間: 22:00 - 23:00
開催曜日: 土曜日開催周期: 隔週(グループB)
わたしたちの身の回りで起こる現象のすべては 物理学によって理解できる(あるいは理解可能と期待されている)と言っても過言ではありません。 しかし普段の生活で、それをじっくり語る機会は少ないと思います。 「VRChat物理学集会」は、そんな物理好きたちのための集いです。 物理に興味を持ち始めたばかりの人から、 日々物理と格闘してる研究者・技術者まで、 みんなで集まって気軽に物理の話を…