リスボン大震災が変えた世界!災害を「科学」に変えた人類の知恵とは?
詳細情報
| 日時 | 2025年12月27日 22:30 - 23:00 |
|---|---|
| テーマ | 災害が科学に変わった瞬間 〜1755年リスボン大震災を境に科学はどう変わったか?〜 |
| 発表者 | さめ(мег-сск)さん |
| 集会名 | VRChat物理学集会 |
| 発表資料 | ファイル |
2025年12月27日、VRChatの人気イベント「VRChat物理学集会」にて、主催のさめさんによる非常に興味深い発表が行われました。
テーマは「災害が科学に変わった瞬間」。
私たちが当たり前のように受け入れている「地震は自然現象である」という考え方が、実はある巨大な災害をきっかけに形作られたという、歴史の転換点に迫るワクワクする内容です。
科学がどのようにして人々の絶望を希望の光に変えてきたのか、そのドラマチックな過程を一緒に覗いてみましょう!
世界を震撼させたリスボン大震災の衝撃
物語の舞台は1755年11月1日、ポルトガルの首都リスボンです。
この日はカトリックの重要な祝日である「万聖節」で、敬虔な市民たちは朝から教会に集まり、ミサを捧げていました。
そんな最中の午前9時40分、推定マグニチュード8.5から9という、現代の基準でも最大級の巨大地震が街を襲ったのです。
揺れによって建物の85%が破壊され、さらに恐ろしいことに、海が引いた後に巨大な津波が押し寄せました。
追い打ちをかけるように、調理器具の転倒などから大規模な火災が発生し、リスボンはまさに地獄絵図と化したそうです。
この「地震・津波・火災」という三重の災害により、数万人もの尊い命が失われました。
しかし、この悲劇の中で人々はある矛盾に直面します。
「なぜ神様を信じて教会で祈っていた善良な市民が亡くなり、一方で不道徳な場所とされる娼館が無傷で残ったのか?」という疑問です。
この問いが、当時の「地震は神の怒りである」という考え方を根底から揺るがすことになりました。
「なぜ」から「どのように」への大きな転換
当時のヨーロッパでは、災害は「神罰」として捉えられるのが一般的でした。
イエズス会の宣教師たちは「市民の罪に対する神の罰だ」と説きましたが、これに真っ向から立ち向かったのが、当時のポルトガル宰相ポンバル侯爵です。
彼は「死者を葬り、生者を養え」という現実的なスローガンを掲げ、復興に全力を注ぎました。
そこで彼が行ったことが、まさに科学の第一歩でした。
彼はポルトガル全土にアンケートを送り、「地震は何時に始まったか?」「海水は引いたか、満ちたか?」「建物の倒壊に方向性はあったか?」といった具体的なデータを収集したのです。
これは、災害を「神の意志(なぜ起こったか)」としてではなく、「物理的な現象(どのように起こったか)」として捉え直そうとする画期的な試みでした。
このデータ収集こそが、近代地震学という新しい学問の種となったのです。
哲学者カントと科学者ミッチェルの挑戦
このリスボンの悲劇は、遠く離れた地にいた知性たちにも大きな影響を与えました。
有名な哲学者であるイマヌエル・カントは、この地震について短期間に3本もの論文を書き上げています。
カントは「地震は純粋に物理的な現象であり、道徳的な意味はない」と断言しました。
彼の説いた「地下の物質の燃焼」というメカニズム自体は現代では否定されていますが、「神罰説を完全に排除して自然法則で説明しようとした」姿勢は、科学史において極めて重要な一歩だったとさめさんは語ります。
さらに、イギリスのジョン・ミッチェルは、より具体的な科学的アプローチを提案しました。
彼は過去の観察記録を分析し、「地震は波として伝わる現象である」という驚くべき洞察を示したのです。
ミッチェルは幾何学を使って震源の場所や深さを推定する方法を考え出し、なんとリスボン大震災の震源が「大西洋の海底にある」ことを正確に言い当てました。
データに基づいた推論が、目に見えない地下の真実を暴き出した瞬間です。
実験と観測が切り拓いた近代地震学
19世紀に入ると、地震学はさらに「実験」という強力な武器を手に入れます。
「地震学の父」と呼ばれるロバート・マレットは、なんと地面に爆薬を埋めて人工的に揺れを起こす実験を行いました。
この実験によって、揺れが伝わる速度が地面の材質(砂や岩石)によって異なることを実証したのです。
また、マレットは世界中の過去の地震をカタログ化し、世界地図の上にプロットしました。
すると、地震が特定の地域に集中して起こっていることが浮かび上がってきました。
これは、現代の私たちが知っている「プレート境界」の概念に繋がる大発見です。
さめさんは、こうした「100年以上にわたる観察の蓄積と実験的な検証」こそが、現代の地震学の基盤を作ったのだと強調されていました。
災害を科学に変えた私たちの知恵
さめさんの発表を聴いて強く感じたのは、科学とは単なる知識の集まりではなく、「悲劇を繰り返さないための人類の意志」であるということです。
リスボン大震災という巨大な犠牲を前にして、当時の人々はただ嘆くのではなく、「次はどうすれば防げるか」を考え、データを集め、理論を組み立てました。
現代の私たちが地震速報を受け取り、耐震性の高い建物で過ごせているのは、1755年のあの日から始まった「科学への転換」があったからこそです。
災害というコントロールできない恐怖を、観察と分析によって「理解可能な自然現象」へと変えてきた先人たちの努力には、深い敬意を感じずにはいられません。
VRChat物理学集会では、このように身近な現象や歴史を科学の視点で解き明かす、ワクワクするような発表が日々行われています。
難しい数式だけが物理ではなく、私たちの命を守る知恵もまた、立派な科学なのです。
皆さんも、身の回りの「なぜ?」を「どのように?」という視点で見つめ直してみませんか?
そこには、世界を変える新しい発見が隠れているかもしれません!
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VRChat物理学集会の開催情報・参加方法
VRChat物理学集会
開催日: 2025年12月27日
開催時間: 22:00 - 23:00
開催曜日: 土曜日開催周期: 隔週(グループB)
わたしたちの身の回りで起こる現象のすべては 物理学によって理解できる(あるいは理解可能と期待されている)と言っても過言ではありません。 しかし普段の生活で、それをじっくり語る機会は少ないと思います。 「VRChat物理学集会」は、そんな物理好きたちのための集いです。 物理に興味を持ち始めたばかりの人から、 日々物理と格闘してる研究者・技術者まで、 みんなで集まって気軽に物理の話を…