第7回 y=ax+bから始める初心者向けML講座:深層学習の壁「深層化」を乗り越える方法
詳細情報
※以下文章はスライド資料を元に自動生成されたものです。
発表ハイライト
- 深いニューラルネットワーク(NN)の学習は、なぜ難しいのか?
- 深層学習における「局所解」問題と、それを解決する最適化手法(モメンタム法、RMSprop、Adamなど)
- Kerasでの最適化アルゴリズムの指定方法とハイパーパラメータの重要性
ニューラルネットワーク(NN)は、画像認識や自然言語処理など、様々な分野で活用されている機械学習の強力な手法です。しかし、NNを深くしていく(層を増やす)と、学習がうまくいかなくなるという壁にぶつかります。
今回は、VRChatの「ML集会」でEarl Klutz(クルツ)さんが発表された「第7回y=ax+bから始める初心者向けML講座」の内容をもとに、深いNNの学習における課題と、その解決策となる最適化手法について解説していきます。
深いNNの学習:なぜ難しいのか?
深層学習では、より複雑なタスクに対応するために、ニューラルネットワークの層を深くすることが一般的です。しかし、層が深くなると、学習がうまくいかなくなるケースが多々発生します。
局所解に陥りやすい
Earl Klutz(クルツ)さんによると、NNは正解と予測値の誤差が最も小さくなる場所を探すアルゴリズムであるため、誤差の曲線が複雑になると、最適な解(大域解)ではなく、その周辺の比較的誤差が小さい場所(局所解)に学習が止まってしまうことがあるそうです。
イメージとしては、山登りで頂上(大域解)を目指しているのに、周りの丘(局所解)で満足してしまい、なかなか頂上までたどり着けないような状態です。
深いNNの学習を改善する最適化手法
では、この「局所解」問題を解決するにはどうすればよいのでしょうか?
Earl Klutz(クルツ)さんは、深層学習において、より効率的に学習を進めるための最適化手法として、以下の3つを紹介していました。
1. モメンタム法
モメンタム法は、学習の過程で過去の更新量を考慮することで、局所解に陥りにくくする手法です。
イメージとしては、ボールが谷底(局所解)に落ちそうになったときに、勢い(過去の更新量)によって谷底から抜け出し、頂上(大域解)を目指せるようになるようなものです。
2. RMSprop
RMSpropは、学習の過程で各パラメータの更新量を調整することで、学習速度を向上させる手法です。
イメージとしては、急な坂道(誤差が大きい場所)ではゆっくりと、なだらかな坂道(誤差が小さい場所)では速く進むことで、効率的に頂上(大域解)を目指せるようになるようなものです。
3. Adam
Adamは、モメンタム法とRMSpropの良いとこ取りをした手法です。過去の更新量とパラメータの更新量を考慮することで、より効率的に学習を進めることができます。
イメージとしては、ボールが勢い(過去の更新量)と坂道の傾き(パラメータの更新量)を考慮しながら、スムーズに頂上(大域解)を目指せるようになるようなものです。
Kerasで最適化手法を使う
これらの最適化手法は、Kerasなどの深層学習ライブラリで簡単に利用することができます。
Kerasでは、optimizer
引数に最適化手法を指定するだけで、簡単にアルゴリズムを切り替えることができます。
まとめ
今回は、Earl Klutz(クルツ)さんの発表内容をもとに、深いNNの学習における課題と、その解決策となる最適化手法について解説しました。
深層学習において、NNの層を深くすることは、より高度なタスクに対応するために重要ですが、同時に学習が難しくなるという課題も存在します。
モメンタム法、RMSprop、Adamなどの最適化手法は、この課題を解決し、より効率的に学習を進めるために開発されたアルゴリズムです。これらの手法を理解し、適切に利用することで、より精度の高いNNを構築することが可能になります。
深層学習の世界は奥が深く、まだまだ学ぶべきことがたくさんあります。しかし、今回の内容を参考に、一歩ずつ理解を深めていきましょう!